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資格外活動許可(1) - 大阪のビザ申請と起業支援なら行政書士 office ARATA

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資格外活動許可(1)

カテゴリ: その他のビザのご相談 公開日:2021年02月24日(水)

 留学生等が日本でアルバイトをする場合に必要な「資格外活動許可」についてご説明しています。

 カフェの店員

 

資格外活動許可

中長期に日本に在留する外国人は必ずビザを持っており、ビザごとに日本で行う活動が定められています。

例えば「留学ビザ」は教育機関で学ぶことが日本での活動となりますし、「家族滞在ビザ」は日本に在留している外国人に扶養されることが日本での活動となります。

 

ところで、「留学ビザ」や「家族滞在ビザ」をお持ちの外国人は、仕事をして収入を得ることができるのでしょうか。答えはNOです。どうしてかといいますと、これらのビザは日本で仕事をして収入を得ることを認めていないからです。

 

しかし、生活費を補うためにアルバイトを希望する留学生や、外国人の被扶養者(配偶者やお子さま)はたくさんいらっしゃいますし、そのような方がアルバイトをして日本で就労体験をすることは、日本をより深く知る大きなチャンスにもなるでしょう。

 

それでは、「留学生」や「家族滞在ビザ」をお持ちの外国人がアルバイトをしたい場合はどうすればいいのでしょう。結論から申し上げますと、この場合あらかじめ入国管理局で「資格外活動の許可」を受けることによって可能になります。

ここでは、「資格外活動許可」についてご説明します。

 

 

資格外活動の概要

「資格外活動」とは、ビザで認められた活動以外の活動をするという意味です。

ご説明しましたとおり、「留学ビザ」は教育機関で学ぶことが日本での活動ですので、収入を得る活動は認められません。そこで、アルバイトをするためには、収入を得る活動を許可してもらわなければならないのです。この許可のことを「資格外活動の許可」といいます。そしてこの許可は入国管理局から得ることになります。

 

ここで注意が必要なのですが、アルバイトといってもなんでもできるわけではありません。まず、風俗営業関係の仕事はできません。当然のことながら法令に違反するような仕事も禁止されます。また、「資格外活動」の許可内容によっては、単純労働も禁止されます。

 

なお、次のビザは「留学ビザ」や「家族滞在ビザ」と同様に収入を得ることが禁止されていますので、収入を得るためには「資格外活動許可」を得なければなりません。

 

  〇文化活動ビザ
〇短期滞在ビザ
〇研修ビザ
〇特定活動ビザ

 

■資格外活動許可を得る必要のないビザ

ビザの中には、収入を得る活動について制限なく自由に行うことができるビザがあります。

次のビザです。これらは、日本で収入を得ることについて制限されていませんので、「資格外活動許可」を得ることなく日本で収入を得ることができます。制限がないため単純労働や風俗営業も可能です。

 

  〇永住ビザ
〇日本人の配偶者等ビザ
〇永住者の配偶者等ビザ
〇定住者ビザ

 

■資格外活動許可を得る必要のない仕事

ところで、「資格外活動許可」を得る必要のない仕事もあります。

次のような活動です。ポイントは「業として行うものではない」ということです。たまたまお手伝いをしてお礼をいただくイメージになります。この場合は、「資格外活動許可」を得る必要はありません。

 

 

〇講演、講義、討論、その他これらに類似する活動
〇助言、鑑定、その他これらに類似する活動
〇小説、論文、絵画、写真、プログラム、その他の著作物の制作
〇催物への参加、映画または放送番組への出演、その他これらに類似する活動
〇親族、友人、または知人の依頼を受けてその者の日常の家事に従事することに対する謝金その他の報酬

〇留学生が在籍する大学または高等専門学校との契約に基づいて行う教育または研究を補助する活動に対する報酬

 

なお、ビザで定められた活動を行いつつ、その傍ら本来の活動を阻害しない範囲内で「収入や報酬を得ない活動」をすることについても、制限はありません。
例えば「就労ビザ」をお持ちの方が、夜間、大学に通って勉強することは、収入や報酬を得る活動ではありませんし、昼間きちんと仕事をしているのであれば、「留学ビザ」に変更することなく行うことができます。

 

ただし、「就労ビザ」をお持ちの方が仕事をせずに大学に通うと、ビザで認められた「就労」の活動をしていないことになりますので、「就労ビザ」は取り消されるか、更新を拒否される可能性があります。どうしても昼間に大学で学びたいのであれば、「就労ビザ」から「留学ビザ」に変更すべきでしょう。

 

 

資格外活動の許可要件

「資格外活動」の許可を得るためには、次の要件を全て満たす必要があります。

 

  ①資格外活動をすることにより、現に有するビザの活動が妨げられるものでないこと。
②現に有する在留資格に係る活動を行っていること。
③資格外活動が「就労ビザ」で許可される活動に該当すること。
④資格外活動が法令に違反せず、風俗営業等ではないこと。
⑤収容令書の発付を受けていないこと。

 

■資格外活動をすることにより、現に有するビザの活動が妨げられるものでないこととは

例えば、「家族滞在ビザ」を持って扶養されている外国人が、扶養者よりも多くの収入を得るような「資格外活動」を行うことが明らかな場合、その者は扶養されているとはいえず、「資格外活動」許可は認められません。

したがって、「資格外活動の許可」を得るためには、扶養者よりも収入が過大にならないようにしなければなりません。

 

■現に有する在留資格に係る活動を行っていることとは

例えば留学生が学校に行かずにアルバイトだけをしているような場合は、本来ビザで定められた活動として学校で教育を受ける活動をしていませんので、「資格外活動」は許可されませんし、「留学ビザ」は取り消される可能性があります。

「留学ビザ」は教育機関で学ぶ活動をするために認められたものですから、勉強をせずにアルバイトばかりするような行動は認められません。

 

■風俗営業とは

風俗営業等とは次のようなものです。

 

 

〇風俗営業:客の接待をして飲食させるキャバレー、スナック、店内の証明が10ルクス以下の喫茶店、バー、マージャン店、パチンコ店、スロットマシン設置業等
〇店舗型性風俗特殊営業:ソープランド、ファッションヘルス、ストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップ等
〇特定遊興飲食店営業:深夜において客に遊興(ダンスを含む)をさせ、かつ客に酒類の提供を伴う飲食をさせるナイトクラブ等
〇無店舗型性風俗特殊営業:出張・派遣型ファッションヘルス、アダルトビデオ通信販売業等
〇映像送信型性風俗特殊営業:インターネット上でわいせつな映像を提供する営業等
〇店舗型電話異性紹介営業:いわゆるテレホンクラブの営業等
〇無店舗型電話異性紹介営業:いわゆるツーショットダイヤル、伝言ダイヤルの営業等

 

上記については、直接客の接待を行わない従業員であっても同様に禁止されます。

 

■収容令書とは

収容令書とは、不法滞在等で国外退去処分が強く疑われる外国人の身柄を収容するために発布されるものです。

 

 

留学生に対する資格外活動許可の特則

ここからは、ビザごとの「資格外活動許可」についてご説明します。まず留学生についてです。

 

留学生が資格外活動をする場合、次にご説明する「包括許可」または「個別許可」が認められます。

国費留学生のように奨学金を十分に得ている場合であっても、学業に支障のない範囲であれば、「資格外活動」は認められます。
留学生が高等学校、中学校、小学校に通っている場合、基本的に「資格外活動」に馴染まないため、申請時に慎重な取り扱いをされます。

 

留学生が日本に入国する際、3か月を超える「留学ビザ」が許可されていれば、入国する空港等で入国審査と同時に「資格外活動許可」の申請を行うことができます。

 

なお、留学生が在籍する大学または高等専門学校との契約に基づいて行う教育または研究を補助する活動に対する報酬については、「資格外活動許可」を得る必要はありません。

 

■包括許可とは

留学生は、留学中の学費やその他の必要経費を補うため、「資格外活動許可」を得ればアルバイトをすることが可能です。

資格外活動許可の要件①、②、④、⑤を満たせば、職場や職種など活動内容を特定することなく「資格外活動」が認められます。

 

「資格外活動許可」の申請をすれば、職場や職種にかかわらず、アルバイト等の収入や報酬を得る活動を認めるため「包括許可」と呼ばれています。また、「包括許可」の場合、仕事先が決まっていなくても「資格外活動許可」を得ることができますし、現在お勤めの仕事先を転職してあらたな仕事先に変わる場合でも、あらためて「資格外活動」の許可を得る必要はありません。

なお、留学生の場合、風俗営業等以外であれば、コンビニの店員等の単純労働も可能です。

 

ただし、就労時間には制限があります。就労時間は1週で28時間以内です。

この28時間はどの曜日から始めても常に1週について28時間であることが必要になります。

例えば月曜日~日曜日までの1週間で就労時間が28時間以内でも、火曜日~月曜日の1週間で就労時間を計算すると30時間になってしまうような場合は、就労時間オーバー(オーバーワーク)となります。

 

オーバーワークになると、不法就労として罰せられますし、そのような外国人を雇っていた会社も不法就労助長罪として罰せられますので、注意が必要です。

 

なお、留学生は1週28時間を原則としますが、夏休みや冬休みなどの長期休業期間中は1日8時間以内の就労が可能です。ここでも注意が必要なのですが、この例外規定は学校が長期休業期間として定めている期間だけということです。

例えばゴールデンウィークなどで休みが連続していたとしても、学校が長期休業期間と認めていない場合は、長期休業期間ではないため、1日8時間は働けません。

 

■個別許可とは

個別許可とは、資格外活動の許可要件を満たしたうえで、包括許可の範囲外の活動について申請があった場合や、「就労ビザ」をお持ちの方が他の「就労ビザ」に該当する活動を行う場合に、「資格外活動」を行う企業等の名称および事業内容その他必要な事項を定めて個々に許可されるものです。


例えば、留学生がインターンシップで1週28時間を超えて仕事をする場合は、要件を満たすことにより個別許可が認められます。
また、「教授ビザ」を持って日本の大学で教鞭を執る先生が民間企業で語学講師として勤務する場合や、個人事業主として活動する場合で客観的に稼働時間を確認することが困難である活動に従事する場合も「個別許可」が与えられます。

 

 

教育ビザ、技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザ

これらのビザをお持ちの外国人が、日本の地方公共団体等と雇用契約があり、勤める地方公共団体等が認めれば、職場や職種など活動内容を特定することなく包括的に「資格外活動」が認められます。認められる「資格外活動」の就労時間は1週28時間以内です。

また、「留学ビザ」同様、これらのビザの在留期間が3か月を超える場合は、日本に入国する際、入国する空港等で入国審査と同時に「資格外活動許可」の申請を行うことができます。

 

「資格外活動」の許可を得るためには「資格外活動」の許可要件である①、②、④、⑤の要件を満たすことが必要です。なお、「技能ビザ」はスポーツの指導業務に限られます。

 

■日本の地方公共団体や地方公共団体の外郭団体等とは

日本の地方公共団体や地方公共団体の外郭団体等とは次のものをいいます。

 

  〇地方公共団体
〇地方公共団体の外国団体
〇国または地方公共団体からインバウンド向け観光推進、地域商品の開発・販路拡大を行うものとして指定された団体

 

■包括許可を得るための要件

本制度で、「包括許可」を得るための要件は次のとおりです。

 

  〇ビザの種類が「教育ビザ」、「技術・人文知識・国際業務ビザ」、「技能ビザ」であること。
〇日本の地方公共団体等と雇用契約があること。
〇資格外活動は、「教育ビザ」、「技術・人文知識・国際業務ビザ」、「技能ビザ」のそれぞれのビザで認められる活動に応じたものであること。
〇「資格外活動」を地方公共団体等が認めること。

 

  

家族滞在ビザ

「家族滞在ビザ」をお持ちの外国人は、「資格外活動」の許可要件である①、②、④、⑤の要件を満たすことにより、1週28時間以内の「資格外活動」が許可されます。この場合単純労働も認められます。

なお、該当者が日本の高等学校、中学校、小学校の生徒、児童の場合は、慎重な取り扱いとなります。

 

また、「資格外活動」の許可要件である①~⑤の全てを満たす外国人から「個別許可」の申請があった場合は、仕事をする企業名や業務内容等を特定して認められます。

 

 

留学生が大学等卒業後、継続して就職活動をする場合等

このケースは次のような方が「資格外活動許可」の申請を行う場合です。なお、いずれも「特定活動ビザ」が許可されています。

 

 
①留学生で大学(短期大学、専門学校および大学院を含みます)卒業後、継続して就職活動を行っている方

②留学生で大学等卒業後の就職活動により、就職が内定し就職するまでの期間中の方

③上記のご家族の方

 

この場合、1週28時間以内で「包括許可」が認められます。単純労働も行うことができます。

 

①の場合は「特定活動ビザ」の申請の際、大学等から推薦状を得る必要がありますが、その推薦状で「資格外活動許可」を認めていない場合、①および③については「包括許可」は与えられず「個別許可」が判断されることになります。


①および②は大学等の卒業生のため、留学生のように長期休暇中の1日8時間以内の特例はありません。

なお、①または②からインターンシップについての申請があった場合は、「個別許可」が判断されます。