外国の学生をインターンシップで受け入れる(受入れ企業等の体制等)
外国の大学の学生を日本の企業等がインターンシップで受け入れる場合についてのご説明です。ここではインターンシップ生を受け入れる企業の体制等についてご説明しています。
外国の大学の学生をインターンシップで受け入れる(受入れ企業の体制等)
インターンシップの制度を適正に運用するためには、外国の大学の学生(以下インターンシップ生とします)を受入れる企業等の適正な運用が求められます。
一部に十分な指導体制がないまま、多数の大学生を受け入れる企業や、インターンシップに参加する大学生を、労働力の確保の手段と考える企業があり、インターンシップの趣旨を取り違えて運用する企業があるからです。
そのような企業のインターンシップに参加した大学生にとっては、インターンシップが有用な就労体験とならず、その経験から得ることができる教育的な効果が薄くなってしまうのです。
そこで外国の大学の学生が参加するインターンシップについて、適正に運用されるようガイドラインが策定されました。本稿はこのガイドラインのうちインターンシップ生を受入れる企業等の体制等についてご説明します。
受入れ機関(企業等)におけるインターンシップの実施体制
インターンシップの効果を高めインターンシップ生を保護するために、インターンシップ生を受け入れる企業等はインターンシップが「教育課程の一部」であることを十分に理解し、受け入れ体制をしっかり確保する必要があります。
原則として次のいずれにも該当する場合は、インターンシップの実施体制があるものとして取り扱われます。
■インターンシップ生の受入れ・指導体制等
インターンシップ生を受入れる企業等は、次のとおり受入れ体制や指導体制を設けなければなりません。
1.受入れ機関(企業等)が、インターンシップ生を労働力確保の手段として受け入れるものでないことを十分に認識していること。(「(外国の)大学と本邦の公私の機関(企業等)との間の契約」の内容により判断されます。)
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2.次に掲げる事項を統括管理するインターンシップ責任者を選任していること。 | ||
(1)外国の大学との間の契約に関すること。
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3.受け入れ機関(企業等)の常勤の役員または職員であって、インターンシップ生が従事する業務について1年以上の経験を有するインターンシップ指導員(インターンシップ責任者との兼任可)を選任していること。
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4.受入れ機関(企業等)またはその役員もしくはその職員が、インターンシップ生、技能実習生その他の外国人の受入れに関して、人権を著しく侵害する行為を行っていないこと。
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5.受入れ機関(企業等)ならびにその役員、インターンシップ責任者およびインターンシップ指導員が、過去5年以内に出入国または労働に関する法令の規定に違反していないこと。
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6.受入れ機関(企業等)において、インターンシップ生との間で、外国の大学との間の契約に反する内容の取決めをしていないこと。
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7.国外および国内における費用(旅費のほか食費、住居費等名目のいかんを問わず、インターンシップの実施に要する費用)について、インターンシップ生に明示し、費用負担者および負担金額等について合意していること。 | ||
※インターンシップ生が定期に負担する費用がある場合は、インターンシップ生がその費用の対価として供与される食事、宿泊施設その他の利益の内容を十分に理解した上で受入れ機関(企業等)との間で合意しており、かつその費用の額が実費に相当する適正な額であることが必要です。
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8.インターンシップ生が行おうとする活動に係る諸条件や報酬額等をインターンシップ生に明示し、合意していること。(「雇用契約書」等により確認します。)
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9.過去にインターンシップ生を受け入れた機関においては、過去のインターンシップが適切に実施されたものであること。仮に不適切な対応があった場合には、十分な再発防止策が講じられていること。
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10.地方出入国在留管理官署による実地調査等が行われる場合は、これに協力すること。
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11.インターンシップ実施状況や評価結果に関する報告書を作成し、当該インターンシップの終了後一定期間(最低3年間)保存すること。 |
■インターンシップ生の適正な受入れ人数の目安について
受入れ機関(企業等)の体制・インターンシップで従事する業務内容を踏まえて個別に判断されますが、以下に示す範囲内であれば、原則として適正な受入れ人数として取り扱われます。
〇常勤職員数が301人以上の場合…常勤職員数×20分の1
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なお受入れ機関において「第1号技能実習生」を受け入れている場合は次のとおりになります。
〇インターンシップ生の受入れ人数(インターンシップ期間中の受入れ予定数を含みます)と「第1号技能実習生」の合計が「第1号技能実習生」の受入れ人数枠を超えるときは、技能実習制度の適切な実施を阻害することのないよう、また充実したインターンシップ活動が行われるよう、インターンシップ生についての指導体制やカリキュラムが構築されていることを明らかにしている必要があります。 |
※インターンシップ期間中に「第1号技能実習生」を受け入れる予定がある場合を含みます。
■インターンシップの実施計画について
インターンシップの実施計画は、インターンシップの実施により単位が認定されることなどを含め、教育課程の一部として適切かつ効果的な計画を大学および受入れ機関(企業等)が連携しながら作成します。
この計画のために以下の事項に留意する必要があります。また技能実習生を受け入れている受入れ機関(企業等)の場合、それぞれの項目について技能実習生との違いを明らかにする必要があります。
1.目標等 |
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活動の目標、内容、期間ならびに大学における履修科目および単位との関連性等を明確にすること。
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2.指導体制 |
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インターンシップ責任者およびインターンシップ指導員を適切に配置すること。
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3.評価 |
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各業務ごとの理解度及び習熟度を確認する時期、評価項目、評価方法および評価担当者(インターンシップ責任者等との兼任可)を明確にすること。
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■夜勤やシフト制を伴うインターンシップについて
インターンシップ生が夜勤を行う場合やシフト制で業務に従事する場合は、その必要性および指導体制について明確にする必要があります。
労働関係法令の適用
インターンシップ生も仕事をして報酬を得るとすると、原則的には労働関係法令が適用されますが、適用の可否はインターンシップ生の業務実態に応じて判断されることになります。
■当該機関の業務に従事する活動
〇インターンシップ生が受入れ機関(企業等)の事業活動に直接従事する場合 |
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インターンシップ生の活動による利益や効果が企業に帰属し、業務上の指揮命令を受けて行われるなど、受入れ機関とインターンシップ生との間に「使用従属関係」が認められる場合には、インターンシップ生は労働基準法上の労働者に該当するとされます。たとえその活動が教育的な側面を有しているとしても同様です。
この場合は、報酬額や支払い方法その他の労働条件について、最低賃金法、労働基準法等の労働関係法令を遵守する必要があります。
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〇労働者性が認められるインターンシップ生に対して受入れ機関(企業等)が行う座学研修等、受入れ機関の事業活動以外の活動の場合 | |
当該活動への参加が、受入れ機関(企業等)により明示的あるいは黙示的に指揮命令を受けていると考えられる場合
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〇受入れ機関(企業等)とインターンシップ生との間に「使用従属関係」が認められる場合 |
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この場合、インターンシップ受け入れのあっせんを行う仲介事業者は、職業安定法に基づき厚生労働大臣の許可等を受けていなければなりません。またインターンシップ生の雇入れと離職の際に「外国人雇用状況届出」をハローワークに提出する必要があります。 |
仲介業者を利用する場合
インターンシップ生の受入れについて、大学との調整、出入国手続の支援、入国後の生活支援等に関し仲介事業者を利用する場合があります。仲介事業者を利用する場合は次の事項にご注意ください。
1.仲介事業者において、支援業務等を適切に行う能力・体制が十分に確保されていること。
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仲介事業者の不適切な利用が認められた場合、当該仲介事業者を利用して行う「特定活動(インターンシップ)」の在留資格(ビザ)認定証明書交付申請等については、許可されない場合があります。
※仲介事業者を利用すること自体は問題ありませんが、仲介事業者は受入れ機関(企業等)ではないため、在留資格認定証明書交付申請の代理人になることができません。