技能実習と特定技能との制度比較
ここでは「技能実習」と「特定技能」との制度比較についてご説明しています。
技能実習と特定技能の制度比較
「技能実習」と似た制度に「特定技能」があります。ともに技能職(単純労働系)であり、その違いが分からないとの声をよくお聞きします。ここで二つの制度の違いをご説明いたします。
技能実習と特定技能の制度内容
「技能実習」と「特定技能」の制度内容は次のとおりです。
項目 | 技能実習 | 特定技能(1号) |
受け入れ可能職種 | 82職種150作業 | 14分野 |
在留期間 |
第1号技能実習:1年以内 合計で最長5年 |
通算5年 |
外国人の技能水準 | 問われません |
相当程度の知識または 経験が必要です |
外国人の日本語水準 |
問われません (介護職のみ日本語能力試験N4程度が必要です) |
日本語能力試験N4以上 国際交流基金日本語基礎テスト |
日本入国時の試験 |
ありません (介護職のみ日本語能力試験N4の合格の要件があります) |
技能水準、日本語能力水準を試験 などで確認します |
監理団体 | あります | ありません |
支援機関 | ありません | あります |
協議会への加入 | 不要です |
各分野ごとの協議会に加入しなけ ればなりません。 |
外国人の採用 |
通常「監理団体」と「送出機関」 を通して行われます |
受け入れ機関が直接海外で採用活動を行うか、または国内外の斡旋機関を通じて採用します |
受け入れ機関の 人数枠 |
常勤職員の総数に応じて人数枠が あります |
人数枠はありません
(建設業と介護業は常勤数を超えないことなどの制限が有ります) |
雇用形態 | 直接雇用 |
直接雇用 (農業と漁業は労働者派遣も認められます) |
転籍・転職 |
原則できません (2号から3号への移行時は 転籍可能です) |
同一の業務区分内であれば可能です |
家族滞在 | できません |
1号はできませんが 2号は可能です |
■技能実習と特定技能における目的の違い
「技能実習」と「特定技能」における両制度の大きな違いのひとつが、制度の目的です。
「技能実習」は、本国で修得が不可能または困難な技術や知識を日本で学び、修得した技術・技能を本国に持ち帰り、本国の発展に寄与することを目的にしています。つまり、日本の国際貢献や国際協力の一環として作られた「研修制度」ということになります。そのため「技能実習生」を、労働力の需給の調整の手段としてはならないとの決まりがあります。
「特定技能」は、日本で労働力が不足する産業について労働力の確保として外国人の方に働いてもらうことを目的にしています。
■技能実習と特定技能の対象職種の違い
「技能実習」と「特定技能」で従事可能な職種は、重なっている部分が多いのですが重ならない職種もあります。
技能実習(第2号移行対象職種・作業) | 特定技能1号 |
農業関係:2職種6作業 漁業関係:2職種10作業 建設関係:22職種33作業 食品製造関係:11職種18作業 繊維・衣服関係:13職種22作業 機械・金属関係:15職種29作業 その他(印刷、介護等、ビルクリーニング等)17職種32作業 |
介護 ビルクリーニング 素形材産業(13分野) 産業機械製造業(18分野) 電気・電子情報関連産業(13分野) 建設(11分野) 造船・舶用工業(6分野) 自動車整備 航空(2分野) 宿泊 農業(2分野) 漁業(2分野) 食料品製造業 外食業 |
第3号移行対象職種は上記のうち 74職種132作業です。 |
特定技能2号の対象職種は 建築と造船・舶用工業です。 |
「第2号技能実習」への移行や、「技能実習」から「特定技能」への移行ができるかどうかで、日本での在留期間も変わってきます。
例えば「特定技能2号」への移行が可能な建設業に従事した場合、「技能実習ビザ」で最大5年間、「特定技能ビザ」で最大5年間日本に在留できるため、「永住権」の取得も可能になります。
■転職の可否について
「技能実習」は実習であり転職といった概念がありません。そのため、原則転職はできないことになっています。ただし第2号技能実習から第3号技能実習に移行する場合は転籍が可能です。
「特定技能」は、同一の業務区分内であれば転職が可能です。そのため、せっかく育てた人材が転職するいった事態も想定されます。