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経営・管理ビザ

カテゴリ: 就労ビザ 公開日:2020年11月01日(日)

外国人が日本で会社を設立し、設立した会社等を経営をするために必要な「経営・管理ビザ」についてご説明しています。

 

企画

 

経営・管理ビザ

    • 日本で会社を設立して会社経営を考えている外国人もいらっしゃると思います。
    • 外国人が日本で会社を経営するためには「経営・管理ビザ」を取得しなければなりません。また、会社を設立したうえで「経営・管理ビザ」を取得するためには、ビザの申請が許可されるように会社を設立することとが重要なポイントになります。 
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  • 行政書士以外の専門家に会社設立を依頼する方がいらっしゃいますが、「経営・管理ビザ」のことを考慮せずに会社設立をした場合、会社は設立できたものの「経営・管理ビザ」が取得できないことも想定されます。そうならないためにも「経営・管理ビザ」を熟知した行政書士が会社設立に関与した方がいいでしょう。 

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  • なお「経営・管理ビザ」は、設立した会社を経営するだけでなく、すでに日本にある会社で取締役や部長として仕事をする場合を含みます。 
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    • 「経営・管理ビザ」の概要 

「経営・管理ビザ」とは、日本で貿易その他の事業の経営を行い、または、当該事業の管理に従事する活動を行うためのビザと規定され、その活動は次の三つに分類されます。

 

〇事業の経営を開始してその経営を行いまたは当該事業の管理に従事する活動

〇既に営まれている事業に参画してその経営を行いまたは当該事業の管理に従事する活動

〇事業の経営を行っている者(法人を含む)に代わってその経営を行いまたは当該事業の管理に従事する活動

 

つまり、会社を設立し経営または管理をする場合、すでに設立された会社の経営または管理をする場合、会社を買収するなどを行い経営を行っている者に代わり経営や管理を行う場合です。

なお、事業の経営を行うとは、代表取締役や取締役、監査役として事業の重要事項の意思決定を行い業務執行や監査の業務を行う場合をいいます。また事業の管理に従事とは部長、支店長、工場長など管理者として働く場合をいいます。

 

「経営・管理ビザ」はその活動内容が法定されていますので、逆に「経営・管理ビザ」以外のビザで外国人が日本で会社経営をすることはできません。

例えば「技術・人文知識・国際業務ビザ」、「技能ビザ」、「企業内転勤ビザ」、「家族滞在ビザ」、「留学ビザ」、「特定活動ビザ」などのビザで会社経営を行うことは違法であり、これらのビザを持っている外国人が日本で会社経営を行うことはできないのです。


ただし、「永住ビザ」、「日本人の配偶者等ビザ」、「永住者の配偶者等ビザ」、「定住者ビザ」をお持ちの外国人は、日本での就労の制限がないため「経営・管理ビザ」を取得しなくても適法に会社経営は可能になります。

 

なお、法律では「貿易その他の事業」となっているため業種の制限があるように見えますが、経営する会社の業種は問いません。

どのような業種でも「経営・管理ビザ」の申請は可能です。例えば、飲食店や小売店などでも、外国人が経営や管理をするのであれば「経営・管理ビザ」の申請はできます。会社ではなく個人事業でもビザの申請は可能です。 

 

 

    • 日本で会社を設立するための要件

    • 外国人が日本で会社を設立し、経営を行う場合の会社設立の要件は次のとおりです。会社設立としていますが、個人事業で事業を始める場合でも特に問題はありません。ただし、個人事業は誰でも簡単に事業を開始できるため、会社にくらべ「経営・管理ビザ」の審査は厳しくなります。

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  • 事業所の存在

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  • 事業を営むための事業所として使用する施設(事務所、店舗等)が、日本に存在していることが必要です。なお、会社を設立する場合でまだ事業を開始していない場合は、事業所として使用する施設が確保できていれば大丈夫です。

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  • 事業の規模
  • 設立する会社は、次のいずれかに該当する事業規模であることが必要です。

  •  1.2名以上の従業員の確保
       経営または管理に従事する者以外に、2名以上の日本に居住する者が、従業員として従事して営まれる規模であることが必要です。
        
     2.資本金の額または出資の総額が500万円以上
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  • 会社を経営する外国人が事業の経営または管理に実質的に従事すること

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  •   「経営・管理ビザ」の審査では、経営者が実質的に経営に携わっていることが確認されます。

  • 名ばかり経営者では「経営・管理ビザ」は取得できません。
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    会社の経営状況は、安定性、継続性を有していること。 

     

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  • 外国人経営者が従事する事業は安定し、将来にわたって継続されることが求められます。創業の場合は事業計画書で資本金、出資金の出どころ、事業内容、収支見込をしっかり説明することが必要です。

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      • 従業員2名以上の雇用について

  • 「従業員2名以上の業務への従事」の要件について、会社設立時に従業員2名以上の確保が必要と思われている方もいらっしゃいますが、会社設立時点で従業員を2名以上を雇わなければならないというわけではありません。

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  • この要件はあくまでも「従業員2名以上雇う程度の会社の規模があること」と言っているだけですので、もう一つの会社設立の要件である資本金500万円以上の出資があれば、従業員2名以上を雇う必要はありません。実務上は資本金500万円以上で会社を設立する外国人が多いのではないでしょうか。 

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  • なお、この出資額500万円以上の要件は、「経営・管理ビザ」を取得する外国人1名の額となります。したがって共同経営で外国人が2名になると出資額は1000万円以上が必要です。 

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    • 出資金が500万円に満たない場合は従業員2名以上の雇用があれば、要件を満たすことになります。なお、従業員は日本在住の条件があるため、対象となるのは日本人か、外国人の場合は就労制限のないビザを取得して日本に住んでいる方になります。具体的には「日本人の配偶者等ビザ」、「永住者ビザ」、「永住者の配偶者等ビザ」、日系人などの「定住者ビザ」をお持ちの方になります。
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    • ところで会社を設立せず、個人事業で行う場合は注意が必要です。
    • 500万円以上を投資して営む事業であることが必要であるということです。会社は出資だけでいいため出資した資本金を使い切る必要はありません。
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    • しかし、個人事業の場合、会社の資本金と違い個人のお金と事業資金の分離がなされないため、出資金としての500万円以上を証明することができません。
  • そこで、個人事業の場合は事業の開設準備に使った資金として500万円が支出されたかどうかで判断することになります。どういうことかといいますと、設備や機器等を購入した資金額で500万円以上あったことの証明が必要になるということです。この場合購入した物などの領収書が証明資料になります。

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    事務系やIT系の職種では設備資金が少額で済む場合が多く、使用した費用が500万円に満たないことも考えられます。また、事業の開設費用として500万円を使い切ってしまうと、運転資金をどうするかの問題が生じます。資金が1000万円あり、そのうち開設費用として500万円を使用して、残りの500万円を運転資金にするような方は良いのですが、資金に余裕のない方は運転資金が不足する事態となってしまうのです。

     

    会社設立は費用がかかると嫌がる方もいらっしゃいますが、「経営・管理ビザ」取得の難易度や事業開始後の運転資金などを考えると会社設立の方がメリットは大きいといえるでしょう。

      

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          • 設立する会社の種類について

      • 設立する会社は「株式会社」でも「合同会社」どちらでも構いません。会社は他に「合名会社」と「合資会社」がありますが、この二つが新設されることはほとんどありませんので、通常は「株式会社」か「合同会社」です。

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      • 「合同会社」とは聞きなれないかも知れませんが「株式会社」と同様法定上の法人であり、信用力が劣るようなこともありません。

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    • 「株式会社」に比べ「合同会社」の方が設立時の費用は少なくて済みますし、設立後の内部手続きも簡素化されていますので「合同会社」の方がメリットがあるとも言えます。

    • 「合同会社」は小規模の会社向けと思われているかも知れませんが、アマゾンジャパン、グーグル、Apple Japan.、日本ケロッグ、西友などの有名な会社も「合同会社」を選択しています。

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    • 会社設立前に検討すべき事項

会社設立の要件をご説明しましたが、会社設立前に検討すべき事項があります。

 

1.出資する資金の出所
 

出資額だけで「経営・管理ビザ」の要件を充足させる場合は、資本金500万円以上の出所と送金経路を明確にしておくことが必要です。

 

2.日本における協力者の確保
 

外国人お一人では会社設立手続きや「経営・管理ビザ」の申請手続き、および事業所の確保ができない場合があります。

なぜかといいますと、例えば会社設立には出資金を銀行に振り込んだ証明が必要になります。そのため、出資金の振込先である銀行口座が必要になるのです。

銀行口座がないと会社設立時の出資金の振込先がないということになりますので出資金振込の証明ができなくなります。そうなると出資金の振込証明ができず、会社設立ができません。

出資金の振込をするための銀行口座は有効なビザがなければ開設ができないため、「経営・管理ビザ」を取得していない外国人は銀行口座が開設できず、会社設立に必要な出資金振込の証明ができなくなってしまうのです。

なお、以前外国人が日本に住んでいたため銀行口座を開設し、その銀行口座が有効な場合はこの問題はありません。

 

また日本に住所のない外国人は印鑑登録ができず印鑑証明書がないため、事業所の賃貸借契約についても困難な状況になります。

 

そこで、日本における協力者を確保することで、出資金振込先としての銀行口座の確保や事業所の賃貸借契約など、会社設立や「経営・管理ビザ」の手続きをスムーズに進めることができるのです。

 

3.会社の住所
 

法人登記上は会社の住所を自宅としても大丈夫ですが、「経営・管理ビザ」取得の際、会社の住所を自宅にするとビザの申請は通常不許可になります。

また、会社事務所を賃借物件とする場合、不動産賃貸借契約上賃借人を会社とし、物件の使用用途は「事業用」にしておかなければなりません。

 

4.スケジュール管理
 

会社設立から「経営・管理ビザ」の取得まで以外に時間がかかります。1か月~3か月と考えていた方がいいでしょう。

会社設立から「経営・管理ビザ」の取得までスムーズに手続きを進めていかないと、事業開始日に間に合わなかったり、売上がないまま会社で借りた事務所物件の賃料がかさんだりしてしまいます。無駄な出費を抑えるためにも、きちんとスケジュールを管理すべきです。

 

5.「経営・管理ビザ」の取得人数
 

 同一の会社で2名以上の外国人が「経営・管理ビザ」を取得する場合、例えば共同経営のような場合です。共同経営の場合、それぞれの外国人の活動が「経営・管理ビザ」の活動に該当することを証明しなければなりません。つまり事業の規模、業務量、売上等の状況など、事業の経営または管理を複数の外国人が行う合理的な理由があるものと認められる必要があるのです。

 

入国管理局はそれぞれの外国人の事業への投資額、従事することとなる具体的な業務の内容、役員として支払われることとされる報酬額等などから、これらの外国人の行う活動が事業の経営または管理に当たるものであるか否かを判断することになります。

 

 

    • 営業許可について

「経営・管理ビザ」取得について、事業内容に制限はありません。しかし、事業を行うにあたり国や都道府県の営業許可が必要な事業があります。

営業許可が必要な事業の場合、「経営・管理ビザ」の申請前に営業許可を取得しておかなければなりません。つまり、営業許可がなければ「経営・管理ビザ」の取得もできないのです。

 

営業許可とは次のような職種に必要です。

  〇貿易事業

〇飲食店
〇リサイクル店
〇不動産業
〇旅行業
〇酒の販売業

:輸出種類卸売免許(酒類)、薬事法による製造販売業

:食品営業許可

:古物商許可

:宅地建物取引業免許

:旅行業の登録

:酒類販売業免許

 

 

    • 外国人が管理業務に就く場合の要件  

外国人が日本で事業の管理に従事しようとする場合の要件です。

すでに設立された会社の管理であれば、資本金500万円の出資は必要ありません。

 

1.事業の経営または管理について3年以上の経験を有すこと。(大学院で経営や管理を専攻した期間を含みます。)

 

2.日本人と同等額以上の報酬を受けること。

 

なお、自ら経営を行う場合、「経営・管理ビザ」の取得の要件として、外国人経営者の学歴を問われることはありません。

 

 

    • 外国人代表取締役を日本に招聘する  

海外に居住する外国人代表取締役を日本に呼ぶケースです。この場合、2つのパターンが考えられます。

 

 1.500万円以上出資した代表取締役を海外から呼ぶ場合
 

この場合「経営・管理ビザ」許可のためのポイントは、資本金500万円の出所、事務所の確保をしたうえで、会社の安定性や継続性を証明する詳細な事業計画書の作成になります。

 

2.金銭出資なしで雇われ社長として呼ぶ場合
  この場合すでに日本に会社は設立済みであると考えられますので、3年以上の会社経営や管理の経験があることの証明が必要になります。

 

 

    • 店舗系の業種を経営する場合の留意点

「経営・管理ビザ」は、会社などの経営をするために許可されるビザのため、経営者は経営・管理しかできず他の業務はできません。

この場合問題になるのが、店舗系の業種(飲食店、小売店、美理容店、マッサージ店など)です。経営者一人で店舗系の事業を立ち上げた場合お店の経営はできますが、調理やホールでの接客業務はできません。

つまり、このような業種では経営者一人では「経営・管理ビザ」は許可されず、調理やホールを担当する従業員が必要になるのです。当然のことですが、外国人調理師を雇う場合は「技能ビザ」を持っている方となります。

 

留学生をホール担当としてアルバイトで雇うことも多いと思いますが、留学生の場合入国管理局で「資格外活動」の許可を得ていなければなりません。また働ける時間にも制限があり、週28時間以内です。

  • なお日本人と結婚している「日本人の配偶者等」、永住権を持っている「永住者」、永住者と結婚している「永住者の配偶者等」、日系人などの「定住者」のビザを持っている方は、就労制限がありませんので、職種に関係なく雇うことができます。