お金を借りることはよくないことか?
起業時にお金を借りる方がいらっしゃいますが、「お金を借りるのは危ない」とお金を借りない方もいらっしゃいます。はたしてお金を借りることはよくないことなのでしょうか?ここでご説明いたします。
お金を借りることはよくないことか
起業時にお金を借りる方がいらっしゃいます。しかし「お金を借りるのは危ない」とお金を借りずに事業を始める方もいらっしゃいます。本当にお金を借りるのは危なくよくないことなのでしょうか。
お金を借りることについて少し考えてみたいと思います。
お金を借りること
「お金を借りるのは危ないでやめなさい。」とアドバイスする方がいらっしゃいます。しかし、個人の生活費や遊ぶためのお金を借りる場合と、事業のための資金は全く性格が違います。事業用の資金は事業を開始しその事業を拡大するためのものです。
金融機関も個人の遊興費や赤字補填のためでは、なかなかお金を貸してくれませんが、事業拡大のためであれば話は違います。拡大が見込まれる優良な事業であれば、金融機関の方からお金を借りて欲しいと言ってきます。
とはいえ、創業前や創業後間もない頃に将来のことを予想するのは難しいものです。順調に事業が拡大できればよいのですが、事業につまづく方もいらっしゃるのは事実であり、事業を軌道に乗せられなければ、借入金の返済が重くのしかかってきます。
このような借り入れの性質をしっかり押さえたうえで、適正な額の借り入れをすることが重要です。利益を出し、資金繰りをしっかり管理できる経営ができれば、事業資金を借りるのは怖いものではなく、次のようなメリットを得ることができます。
1.資金に余裕があるため、事業経営にも余裕を持つことができます。 2.事業拡大のための投資にお金を回すことができます。 3.資金繰りに余裕ができ、お金に追われることがなくなります。 4.投資に多額の資金を投入でき、より大きくより早く成長することができます。 5.金融機関から借入ができた事実や、借入金をきちんと返済している事実があれば、金融機関から信用を得ることができます。金融機関から信用を得ると今後の資金調達が楽になります。 |
自己資金だけで起業するリスク
自己資金が潤沢で借入する必要はない。とおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。自己資金だけで起業すると返済に追われることがなく、保証人など他人に迷惑をかけることはないと思うのではないでしょうか。
しかし、自己資金だけで創業するのはリスクが高くなる傾向にあります。
1.創業後はお金が恐ろしい速度で減っていきます | |
起業した直後は思うように売り上げが上がらず、赤字になることが多いものです。起業直後から黒字になる創業者などほとんどいません。 起業時に店舗を借り、人を雇った場合、たとえ売上がなくても家賃や給与の支払いは待ってはくれません。また、飲食店のような現金商売以外、売上があっても、そのお金が実際に振り込まれるまでは通常日数がかかります。つまり売上があってもお金が手元にない状態になってしまうのです。
起業時の資金は恐ろしい速度で減っていくものです。資金不足に気づき、あわてて資金調達を考えても、そのような状態ですぐに融資先を見つけるのは容易ではありません。
創業期の倒産の多くは、資金不足です。創業期は外部資金で十分に資金を確保し、余裕のあるスタートを切るべきなのです。自己資金は万一のために確保しておくことをお勧めします。
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2.創業期が一番お金を借りやすい事実 | |
金融機関は、お金を借りたい方の事業の現在の状況と将来性を判断して、きちんとお金を返済してくれそうな方に融資をするものです。 事業の現在の状況や将来性は、事業の業績数値を見て判断します。もし、赤字が続いているようだと、金融機関も融資には慎重になります。
例えば、赤字が続いていたり、資金繰りが苦しいからといって融資を金融機関にお願いしても、非常に厳しい回答が来るのが目に見えています。今まで、金融機関との付き合ったことがない場合は、融資は受けられないと考えていた方がよいでしょう。
しかし、創業する前は、過去の実績がありません。金融機関は融資に際して創業者が考えた将来の収支予測を吟味し、その予測は実現しそうだと判断すれば融資をしてくれます。
つまり、事業を始めて業績数値が出た後よりも、創業前の方が融資を受けやすいのです。創業直後は赤字になる可能性が高いため、できるだけ創業する前にお金を借りることをお勧めします。
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3.金融機関とお付き合いする | |
事業をしていると、事業資金が必要になる場面が必ず起こります。お金が足りない場合もあるでしょうし、積極的に売り上げを拡大するためにお金が必要になることもあります。 このようなときに、日ごろから金融機関とお付き合いしていると、柔軟に対応してもらえます。当然のことながら借入金の返済が滞っていると、すんなり融資につながることはありませんが、金融機関は何とか助かる方法を考えてくれるものです。
金融機関とのお付き合いは、経営者が身に着けるべき経営ノウハウのひとつです。金融機関からお金を借りる経験は、融資を受けるノウハウが身につくとともに、今後の金融機関とのお付き合いを深めるためにも必要な経験といえるでしょう。 |