日本政策金融公庫担当者との面接を乗り切る
日本政策金融公庫からの創業融資を成功するためには創業計画書をしっかり書くことと、日本政策金融公庫担当者との面接を乗り切ることが重要です。ここでは日本政策金融公庫担当者との面接を乗り切るポイントについてご説明しています。
日本政策金融公庫担当者との面接を乗り切る
日本政策金融公庫(以下公庫とします)からの創業融資を成功するためには創業計画書をしっかり書くことが最重要のポイントですが、公庫担当者との面接を乗り切ることも重要です。
日本政策金融公庫担当者との面接
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- 公庫に創業融資を申し込むと、後日公庫の担当者との面接があります。なぜ、面談を行うのでしょう。それは、公庫の担当者が、創業融資を申し込んだ方が「そもそもお金を貸せる方か」、「きちんと返してくれる方か」を確認するために面接が行われるのです。面接の時間は概ね30分程度です。
公庫の担当者が面接で聞きたいこと
公庫の担当者は、創業する事業で売上が上がり、創業融資として貸したお金を返済してくれる方がどうかを面談で見極めようとします。しかし、30分ほど面接しただけで見極めることは困難です。そのため、事前に提出された創業計画書に記載された内容の根拠について質問することにより、公庫の担当者は「創業計画書に書かれたことは妥当でありうまくいきそう」だとか、「この計画は甘い、貸すのは難しい」などと判断します。
創業計画書に書いた内容の根拠についてはその回答の準備が必要です。口頭で説明することも大切ですが、より強く根拠を示すため資料を準備することも重要なポイントになります。
面接時のポイント
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- 公庫の担当者との面接を成功させるため、次のようなポイントがあります。
1.面談は公庫の担当者と創業者おひとりで行われます。 | |
緊張する場面ですから、慣れていないとなかなかうまく話せません。面談当日、創業計画書の内容を根拠をもって簡潔に話せるよう、事前にまとめておくことをお勧めします。
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2.面談時間は30分程度ですが、実際に面談を受けるととても短く感じると思います。 | |
創業の熱意のまま多くを語る方もいらっしゃいますが、面談でのポイントは多くを語らないことです。公庫の担当者が質問してきたことに対し、手短に回答するだけにします。
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3.公庫の担当者は事業については素人です。 | |
とても素晴らしいアイデアを事業化した方などは、専門用語を駆使して説明しようとしますが、公庫の担当者が理解できないと、創業融資決定の稟議書が書けなくなってしまいます。 誰でも理解できるような用語を使い、場合によっては図で示すことも必要です。 |
売上予測の根拠となる資料
売上予測の根拠となる資料については、何を提示すべきか悩むところです。それぞれの業種により提示する資料は違いますが、概ね次のような資料を準備すべきです。
○取引予定先との契約書 ○取引予定先からの発注書 ○販売予定先名簿 ○店舗の場合、開業予定地周辺の顧客となる層の概数 ○競合する店舗の数、来店客数 ○競合する店舗との比較表(例えば飲食店の場合、メニュー、価格、自店の優位性など)
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自己資本の出所に注意する
自己資金は、創業者自身がコツコツ貯めたものが、公庫の担当者には最も信頼されます。「真面目に働き給料の中から一定金額を貯め、今回貯めた金額が予定している事業の総費用の3割に至ったので、創業することにした。」と公庫の担当者に説明できれば、創業融資の決定もしやすくなります。
また、コツコツ貯めた経緯は、預金通帳で証明します。その他の金融資産がある場合も、きちんと書面で証明します。
例えば、「資金が足りないため親の援助を受けた。」という方もいらっしゃると思います。その場合も親名義で創業者の預金口座にお金を振り込んだことが通帳に記帳されていることが必要ですし、親からの援助について贈与契約書を作り証拠として公庫に提示する場合もあります。
公庫の創業融資を受けやすくする5つのポイント
すでに記事中でご紹介していますが、公庫から創業融資を受けやすくするために必要な5つのポイントについて、ご説明します。
1.自己資金をコツコツ貯める
少し長い期間をかけて貯めることが重要です。金額の目安は総資金の3分の1以上が望ましい金額になります。例えば、1000万円で事業を始めようと考えている方は、300万円~400万円程度の自己資金が望ましい金額になります。また、コツコツ貯めた証拠として、預金通帳に記帳しておきます。
2.予定している事業の経験を積む
全く経験したことのない事業を始めるのは、非常にリスクが高いものです。公庫の担当者も、過去の経験を重視します。予定している事業について6年以上の経験があると、創業融資は通りやすくなります。経験のない方は、どうすればよいのでしょう。
経験がない場合は、次のように経験はなくてもしっかり事業経営ができることを証明します。
○予定している事業で修業をする ○勉強会やセミナーに参加する ○指導者を見つける ○資格を取得する など |
3.税金や家賃、水道光熱費、携帯電話の料金など、期日通りに支払っていることを証明する
税金や家賃、水道光熱費、携帯電話の料金などが、期日通りに支払っていない場合は、公庫の担当者にマイナスイメージを持たれてしまいます。
「期日は過ぎているが、支払っているから大丈夫だろう」は通用しません。「期日通りに支払う」ことが重要です。
もし、滞納などがある場合は滞納を解消し、6か月以上毎月きちんと支払っていることを証明します。
4.信用情報をチェックする
CICなどの信用情報機関から自分の信用情報を取寄せておくとよいでしょう。過去にローンを組み、滞納などがある方は一度チェックしておくことをお勧めします。
万一滞納や延滞がある場合は、滞納を解消後着実な返済を積み重ねてから、創業融資の申し込みが可能になります。
しばらく創業融資を受けらない時期があることを覚悟しておくべきです。
創業融資をどうしても受けたい方は、とても難しいとは思いますが、返済できなかった理由を公庫の担当者に面談の場で説明することです。合理的な説明ができれば、創業融資を受けることができるかもしれません。
5.取引先や販売先名簿を作成する
取引先や販売先名簿ができていると、事業展開が早く成功する確率も高いと評価されます。
特に販売先(見込客)名簿を作成することは、創業融資を受けること以上に、自分の事業の成功のために必ず作っておくべきでしょう。