創業計画書の書き方
日本政策金融公庫から創業融資を受けるために最も重要な創業計画書の書き方についてご説明しています。
創業計画書について
日本政策金融公庫(以下公庫とします)に創業融資を申し込むときには、必ず創業計画書を作成します。創業計画書とは、創業時の事業計画書のことです。一般的な事業計画書は、A4サイズで数ページから数十ページの分量で作成するものですが、公庫に提出する創業計画書は公庫所定のA3サイズ1枚のシンプルなものです。
この1枚の創業計画書に、創業者の事業を成功させたいとの熱い想いを凝縮し、事業成功の要点を絞って作成しなければなりません。シンプルな分、一般の事業計画書よりも作成が 難しい面があります。
創業計画書記載時の心構え
創業計画書は「この事業は、画期的で大成功しそうだ」と思わせるような内容である必要はありあません。公庫は貸したお金を返してもらえればいいのですから、「この方の計画はうまくいきそうだし、返済も確実にしてくれそうだ」という手堅く、確実な内容にすべきなのです。
しかし、創業計画書に書くべきことも知らずに、いきなり創業計画書を作るようなことはしないでください。創業計画書では何が求められており、何を書くべきかしっかり戦略を練り、推敲を重ねるべきなのです。創業計画書の出来不出来で創業融資の成否が決まるといっても過言ではありません。例えば自己資金が十分にあり、事業内容も申し分ないとしても、それを伝えるべき創業計画書の内容がいい加減で公庫の担当者に伝わらない場合は、創業融資が受けられないことも考えられます。
創業計画書の記載項目
創業計画書は、次の8項目について記載するようになっています。
1.創業の動機 2.経営者の略歴等 3.取扱商品・サービス 4.取引先・取引関係等 5.従業員 6.お借入れの状況 7.必要な資金と調達方法 8.事業の見通し |
上記のとおり一般の事業計画書に見られる、経営理念や事業コンセプト、マーケットや競合他社の状況などを記入する欄はありません。
経営理念や事業コンセプト、マーケットや競合他社の状況は事業を行うためにはとても大切な要素ですが、公庫は融資審査においてこれらの要素よりも上記8項目の方が重要だと考えているわけです。
1.創業の動機
創業の動機を書くときは少し注意が必要です。創業の動機というと創業者にとっての思いや熱意を思いっきり書こうとして、記入欄に収まり切れなくなってしまうことがよくあります。
しかし、創業計画書は創業融資を受けるための書面です。自分の思いを切々と訴えても創業融資の審査をする担当者にはあまり響きません。担当者が知りたいのは「あなたが借りたお金を返してくれる人なのか、そのために始めようとする事業は収益を上げることができるか」だけです。
創業計画書には創業融資の審査判断に関係のある内容を盛り込み作成すべきであり、創業者の略歴や商品、取引先などのがしっかりと読み取れることが重要なのです。創業の動機は次のようなポイントを押さえ簡潔に書くことが必要です。
(1)事業の概略がきちんと読み取れる | |
創業の動機欄は最初に公庫の担当者の目に入る部分であるため、ここで事業の内容がきちんと読み取れるように記載します。そうすることにより創業計画書の創業の動機欄以下の項目が理解しやすくなります。
|
|
(2)創業者の過去の経験が活かせる事業である | |
経験のある事業は成功率が高いと言われます。創業融資の審査において公庫の担当者も過去に経験のある事業かを重視します。そのため始めようとする事業についての経験があればしっかりとPRします。
|
|
(3)自社の強みや他にない商品・サービスがある | |
自社の強みや他にない商品・サービスはPRポイントです。きっと皆さまの事業にも強みやPRポイントがあるはずです。記載内容をしっかり考え簡潔明瞭に説明します。
|
|
(4)顧客や販売先が決まっている |
|
顧客や販売先が決まっていると事業の成功が近くなります。創業融資の審査ではとても大きなPRポイントです。
|
|
(5)創業が思いつきではなく創業にむけ着々と準備した | |
創業に向けしっかり準備してきたことをアピールします。商品開発に取り組んだ、創業のために資格を取得した、人脈作りに励んだ、などがあればしっかりPRします。 |
2.経営者の略歴等
(1)経営者の略歴等(経歴、過去の事業経験、取得資格、知的財産権等) |
|
経営者の略歴等の欄は経営者としての資質を示すものであり、公庫の担当者が注目する部分です。単に履歴を並べるのではなく経営者としての資質をPRしなければなりません。起業する事業を行うための資質や経験、能力などを強調することが大切になります。
レストランを開業する場合、「20●●年●月~ レストラン●●で6年間勤務」と記入するだけではなく、この6年間でどのようなスキルを磨いたかをアピールします。 例えば「6年間で調理の他、店舗経営全般を経験、3年目からは店長補佐として仕入れやスタッフの管理も行いレストラン経営の全般を学んだ。」など、調理技術のみならず、マネジメントについても学んだことをPRします。
|
|
(2)過去の事業経験欄 | |
この過去の事業経験欄も重要です。なぜなら公庫の担当者はこの欄を見て質問をし経営者としての資質を判断するからです。 「事業を経営したことがない」にチェックがあれば、「なぜ創業しようと思ったのですか?」と質問しやすくなります。 「事業を経営していたことがあるが、すぐにその事業をやめている」にチェックがあれば、「どのような事業を行い、どうしてやめたのか。事業の経験は次の事業に行かされるのか。」など経営者としての資質を判断する質問をすることになります。 どの項目にチェックする場合でも、事前に公庫の担当者からの質問への答えを考えておくべきです。
|
|
(3)資格取得欄 | |
事業に関連する資格や許認可などを記入します。一般的には公の資格を記入しますが、民間の資格であっても、自分の技能の高さがアピールできるのであれば記入した方がいいでしょう。 |
3.取扱商品・サービス
(1)取扱商品・サービス欄 | |
取扱商品・サービス欄は、二つの記入欄があります。一つが取扱商品サービスの内容ともう一つがセールスポイントです。自社の商品・サービスですから簡単に書けそうですが、案外書けないものです。しっかりと考えてください。 公庫の担当者も、事業の売上を決める大切な部分のためこの欄を重視します。公庫の担当者は、貸したお金の返済をきちんとしてくれるだろうかとの視点で、「この商品やサービスは顧客に受け入れられるか」、「予測通り売上は伸びるのか」と予想するのです。
|
|
(2)事業プランのブラッシュアップ | |
この欄を記入する前に、自分が考えた事業プランを何度も繰り返しブラッシュアップすることが重要です。
何度も繰り返し事業プランをブラッシュアップすることにより、この欄を魅力的に書くことができます。 また、ブラッシュアップを繰り返すと事業の成功率も高くなります。ブラッシュアップの中で、事業のアピールポイントやお客様にとってのメリットが鮮明になりますし、それを短い文書で伝えることもできます。たとえ、お客様にとって不都合な部分があっても、それを補うメリットを強調することも可能になります。 この欄は、時間をかけしっかり考え抜くことが大切です。
|
|
(3)だれでも理解できるように簡潔に記載 | |
次のようなポイントを意識し、だれでも理解できるように簡潔に書きます。 時々専門用語を多用する方がいらっしゃいますが、公庫の担当者に理解されないと融資判断ができません。簡単な言葉に置き換える技術も重要です。
①誰に対して、何を、どのように売るのか。ターゲット顧客を明確にします。 ②商品やサービスの特色、特徴は何かを明確にします。 ③たくさんの商品を羅列するのではなく、本当に売りたいものを一つか二つ程度に絞ります。 ④どの程度の料金で提供するか。飲食店などはメニュー表があるとよいでしょう。 ⑤経営者の略歴と売りたい商品・サービスが、どのように関連しているかを記入します。 ⑥すでに売り先が決まっている場合は、積極的にPRします。また、過去の実務経験や人脈、販売ルートの確保などもPRポイントです。
|
4.取引先・取引関係等
(1)事業の成功のためには、取引先の確保しておくと成功する確率が高くなります | |
それでは取引先とは何でしょうか。創業計画書では取引先を販売先、仕入先、外注先の3つに分けています。それぞれの取引先について、シェア、掛取引の割合、回収・支払の条件を記入していきます。また、この欄の一番下に人件費の支払欄があります。
|
|
(2)掛取引の割合、回収・支払の条件 | |
掛取引の割合、回収・支払の条件に記載があれば、その事業は現金取引ではなく代金の回収、支払いが後日になるということです。 公庫の担当者は、掛取引がある場合、資金繰りを気にします。つまり、代金の回収よりも仕入代金の支払いが先に来ると、資金繰りが苦しくなるからです。 人件費の支払いも同様です。売上代金回収前や仕入代金支払後に人件費支払いが来ると、やはり資金繰りに苦しむことになります。このあたりは押さえるべきポイントのひとつです。
|
|
(3)取引先 | |
実際に取引先を記入する場合、相手の社名や店名を明記すべきです。ここが固有名詞で書かれていると、信憑性が高くなり、融資審査の判断に有利に働きます。 創業前で取引先が決まっていない方もいますが、固有名詞が書けなくても、できるだけ具体的に記入することが大切です。 また、飲食店などは、「一般の方」よりも、「●●駅周辺の独身OL」など、ターゲットを絞った方が融資審査では有利に働きます。
|
|
(4)公庫の創業計画書の記入例には、次のような注記があります | |
①販売先・仕入先との結びつきがあれば記入してください。 ⇒以前の勤務先、叔父が経営など結びつきがあれば記入します。取引先との間で特別な関係があれば、取引が安定する可能性が高く、取引先となった理由も明確になります。 ②契約書・注文書などがあれば添付してください。 ⇒契約書や注文書があれば、取引先との取引関係がしっかりと証明されます。 ③販売・仕入条件について確認しておく必要があります。 ⇒回収・支払の条件について、取引先に確認しておく必要があるということです。 ⇒飲食店など店舗系の商売の場合、店舗の立地は事業の成功のための重要な要素です。その場所を選んだ理由を根拠を示して記入するようにします。なんとなく決めたでは、公庫の担当者も不安になってしまいます。 |
5.従業員
(1)常勤役員の人数、従業員数、パート・アルバイト数に分けて記入します | |
常勤役員の人数は、法人が申し込む場合のみ記入します。従業員数は正社員として雇う従業員の人数です。配偶者など家族が手伝う場合は、(うち家族)欄に記入します。正社員以外のパート・アルバイトの人数はパート・アルバイト欄に記入します。
|
|
(2)この欄は単に従業員の数を見ているわけではありません | |
この事業を行うのに、従業員数は適正なのか、不足しているとしたらどのように補うのか、公庫担当者からの質問が予想できるところです。事前に回答を考えておくことが必要です。
|
6.お借入れの状況
(1)この欄は、創業者の財政状況の確認に使われます | |
借金があると創業融資は受けられないということではありません。住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどはあるのが普通です。したがって、漏らさず記入することが必要です。
|
|
(2)財政状況については、過去のローンの返済状況なども審査されます | |
過去の借り入れについて、延滞していたような方は、事前に個人信用情報を確認しておいた方がいいでしょう。 信用情報機関は次の3つがあり、個人の信用情報をインターネットや郵送で取得できます。
|
CIC | クレジットカードの情報を集めた信用情報機関です。 |
JICC(日本信用情報機構) |
消費者金融の情報を集めた信用情報機関です。 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 銀行からの借入状況などを記録しています。 |
7.必要な資金と調達方法
(1)この欄は、「必要な資金」欄と「調達方法」欄に分かれます | |
「必要な資金」欄は、さらに「設備資金」と「運転資金」に分かれます。また、「調達方法」は、「自己資金」欄、「親、兄弟、知人、友人等からの借入」欄、「日本政策金融公庫の国 民生活事業からの借入」欄、そして「他の金融機関からの借入」欄に分かれます。
|
|
(2)ここでは、公庫等から借入をする根拠を示します | |
事業を始めるための設備や備品などの購入資金や、運転資金についてしっかりと計画し、見積書などの根拠を添えて提示します。店舗や事務所を借りる、店舗の内装工事をする、飲食店であれば皿やコップなどを購入する、パソコンや複合機、電話などを購入する、経理用のソフトウェアを購入する等きちんと見積書を取寄せます。見積書の取寄せが難しい場合は、インターネット上の価格など客観的な証拠となる資料を揃えます。
|
|
(3)「運転資金」は、原価や経費の3~4か月分程度を見積ります | |
原価や経費が月50万円必要であれば、3か月分ですから150万円になります。ただし、3か月分全額を運転資金として認めてもらえるわけではありません。現金商売である飲食店などは1か月分くらいしか認めてくれない場合もあります。
|
|
(4)調達の方法「自己資金」 | |
この「自己資金」欄はとても大切です。どうしてかと言いますと、「自己資金」が厚い方が事業の成功率は高いからです。公庫は、新創業融資の融資条件として、「自己資金」が10分の1以上あることとしています。緩和措置などで「自己資金」は不要としている場合もありますが、「自己資金」が低い方は資金的な余裕がないため、事業から撤退する率が高くなるのが現実です。 自己資金の目安として、創業資金の3分の1程度は確保してください。創業資金が1000万円必要な場合であれば「自己資金」は最低でも300万円程度は準備すべきです。「自己資金」を3分の1程度準備した方は、公庫の創業融資も借りやすくなります。 なお、この「自己資金」は次のような点も確認されます。 ①「自己資金」を貯めた預金口座の通帳には、「自己資金」額以上のお金が記帳されているかどうかです。 ② 「自己資金」を貯めた経緯が通帳で確認できることが重要です。 ③ 親から返済不要のお金を出してもらった場合、通帳に親名義の振込みの経緯が記載されるよう必ず融資申込人の銀行口座に振り込んでもらいます。
|
|
(5)「必要な資金」と「調達の方法」の左右の合計額は一致しているか | |
「必要な資金」の合計額と「調達の方法」の合計額は、左右が一致する必要があります。 たくさんの資金を借りたいと思っても、左側の「必要な資金」の合計額が300万円なのに、右側の「調達の方法」の合計額が500万円(自己資金100万円、借入400万円)では、借入が多すぎ、借入は200万円に減額されます。 適正額を計算する手順は次のとおりです。 ①設備の内容を検討し、見積額を算出する。 ②その他必要な備品等を検討し、見積額を算出する。 ③運転資金を算出する。 ④自己資金や他の方法で調達する金額を算出する。 ⑤①+②+③の合計額から④の自己資金等を差し引き融資申込額を算出する。 ※最終的には運転資金で調整をし、左右の合計額を合わせます。
|
8.事業の見通し(月平均)
(1)創業計画書の中で、最大のポイントがこの「事業の見通し」です。 | |
融資を受けた後、事業がうまくいき、きちんと借入の返済ができることを示さなければなりません。事業はいつ軌道に乗るかわかりません。しかし、「事業が軌道に乗る時期は全く分からない」となると、公庫の担当者も融資は難しいとの判断になってしまいます。
|
|
(2)創業計画書に記載する事業期間 | |
通常、事業計画書では1年目、2年目、3年目~5年目くらいの長いスパンで計画をしますが、公庫の創業計画書は1年間の「事業の見通し」を提示することになります。しかも、その1年間を「創業当初」と「軌道に乗った後」の2期に分けるのです。 それでは、「軌道に乗った後」とは何時くらいなのでしょう。その時期はだいたい創業後半年くらいをめどにして下さい。創業後半年で「軌道に乗る」ためには、どれくらいの売上が必要で、その売り上げを達成するためには誰に売るのか、そのために何をするか、経費はどれくらいを見積もるのかなど、しっかりと計画し、その計画を何度もブラッシュアップすることが重要になります。 行き当たりばったりで計画しても、実現性が低いことはすぐに公庫の担当者に見破られます。何度も何度もブラッシュアップさせ、最終的に出来上がった計画を自信をもって公庫の担当者に伝えましょう。何度も練り直した計画は融資審査にパスするだけではなく、実際の事業でも必ずうまくいきます。
|
|
(3)売上高の予測 | |
売上高の予測について、公庫は業種、業態により次のとおり計算式を例示しています。この計算式を参考に売上高を予測します。 |
業種 | 売上高予測の算出方法 |
飲食店 |
客単価×座席数×1日あたり回転数×営業日数 昼のランチや夜のディナー別、平日と週末、休日別で細かく分けるなどの工夫が必要です。また4人掛けのテーブルに何人座るかなど、細かい調整をすると、より精緻な売上予測になります。 |
店舗での小売りなどの販売業 |
単位面積(1㎡または1坪)あたりの売上高×売り場面積 ※商品の平均単価×1日あたりの客数×営業日数で計算することもできます。この場合、客数にはリピート率をかけるとより精緻な売上予測になります。 |
美容院や理髪店 | 客単価×座席数×回転数
※サービスメニューごとの料金×1日あたりの客数×営業日数で計算してすることもできます。 |
部品加工、印刷、運送業など 設備依存型の業種 |
設備の生産能力×設備数 |
自動車販売、化粧品販売など 労働集約的な業種 |
従業員1人あたりの売上高×従業員数 |
(4)売上原価(仕入高) | |
売上原価はどのように計算するのでしょう。小規模な事業であれば仕入れ額を積み上げて計算することもできます。しかし、飲食店や小売店では商品数も多くなり、仕入れ額の積み上げでは計算が煩雑になりますので、業種別の平均値をとることも可能です。 業種別の平均値は、例えば公庫のホームページに「中小企業の経営等に関する調査」があり、その中の「小企業の経営指標調査」に業種ごとの売上原価を調べることができます。「小企業の経営指標調査」には、「売上高総利益率」のデータがあります。これは売上高から売上原価を差し引いた利益の率ですから、原価率は100%からこの率を差し引いた数値になります。 例えば、売上高総利益率を70%とすると、100%-70%=30%ですから原価率は30%ということです。売上にこの原価率をかけ合わせると、売上原価が計算できます。 例えば年間売上が1000万円であれば、売上原価は1000万円×30%=300万円ということです。
|
|
(5)経費 | |
経費は、「人件費」、「家賃」、「支払利息」、「その他」に分けて算出します。「人件費」は実際に支払う人件費を計算します。法人の場合は役員報酬も算入します。また、従業員を雇う場合は、法定福利費や残業代も考慮し、従業員の人件費×1.15程度で計算します。 「支払利息」は借入予定額×利率÷12か月で計算できます。 「その他」は外注費や水道光熱費、交通費、通信費などです。実際に事業を始めると経費が掛かるものです。ある程度多めに計上しておく方がよいでしょう。
|
|
(6)利益 | |
売上高から売上原価と経費を差し引くと、最終的に利益額が算出できます。この利益額は、借入金と個人事業の場合は経営者本人の給料の財源となります。創業したばかりの時は、利益額はマイナス(赤字)になるケースは多く見られます。 しかし、事業が軌道に乗ってから、例えば創業後6か月後にも赤字を出し続けるような創業計画書では、借入の返済は無理と言っているようなものですから注意が必要です。 また、1年間事業を行った結果、算出された利益に税金がかかることも考慮が必要です。税金とは、法人であれば法人税、住民税、事業税であり、個人事業であれば所得税、住民税、事業税です。実際にどれくらいの税金がかかるかは、事業主が個人事業を営んでいるか法人にしているか、仕入れ額や経費の総額、個人であれば所得控除の額がいくらかなどにより、それぞれ違います。 しかし、一般的には個人事業であっても、法人であっても利益額の30%程度が税金といわれます。利益額からこの税金を差し引いた額で借入金の返済ができるかが、重要なポイントになります。また、個人事業の場合は、利益額から税金と借入期の返済額を差し引いた額が事業主の給料になります。 つまり、次のような計算が必要になるのです。 ○売上:1000万円 ○売上原価:300万円 ○経費総額:100万円 ○借入額:500万円(5年払い、借入利率2%とすると月々の返済額は8.5万円) この場合、1000万円ー300万円ー100万円=600万円となります。 この利益額から税金を引き残った金額から、借入金の返済と個人事業主の場合はご自分の給料を出すことになります。 例えば、自分の給料を月20万円、借入金の返済が月8.5万円で30%が税金分と考えると、実際に必要な利益額は(20万円+8.5万円)÷(1-30%)=約41万円となります。年間では約489万円です。利益額が年間で600万円であれば、予定通り給料を20万円もらい、借入金の返済も可能になります。 |